私は普段は映画館まで映画を観に行くことは滅多にないのですが、
広告のインパクトと前評判の高さから、観ずにはいられなかったというか。
ストーリーの斬新さも然ることながら、
プロットとは関係のないようなシーンこそが大切だったりとか、
映像の色や挿入歌の挿入のされ方等、効果も見事に使われていて、
私が言うのもなんですが映画としての完成度の高さに衝撃を受けました。
斬新なシーンがとても多いので、それなりに酷評もされているようですが、
アカデミー賞を獲れなかったのが残念でならない、というのが私の率直な感想です。
そこで唯一気になったのが、配役。
たしかに映画の中だけではそれぞれが適役のようにも思えたのですが、
果たして原作を読んでみた場合、それが本当に適役なのかを知りたくなり、
すぐに原作を購入して読みました。
原作を読んでみて、結局は私の貧相な想像力では他にふさわしい配役は浮かばなかったので、
そこに関してはもはや気にする余地もないのですが、
この原作『告白』は、映画によって完成されたな、という印象を持ちました。
表現技法やストーリー展開についてはここでは触れませんが、
文章だけでは表現しきれないであろうところを、
映像を無駄なく使って表現していたように思います。
つまり、この『告白』で扱われているプロットを他人に伝える場合、
それは映像によって完成するものなのではないか、と。
一方で、最近話題の『ソーシャル・ネットワーク』という映画。
原作に当たるものを読んだわけでもないし、映画もまだ観ていないのですが、
原作の企画書から製作された映画ということで、早々に分岐してしまったのも一因か、
「原作に比べ、映画は非常に薄い」という評価が目立っているように思います。
『告白』と比較すると、こちらは原作と映画が全く異質なものになってしまった、ということでしょうか。
いずれにしても、紙という媒体を使う、映像という媒体を使う、
それ以外の媒体を使う、そのどれがそのコンテンツにふさわしいものなのか、ということを
考えていくことも大切なのでは、と考えさせられました。
「GoogleとFacebookが共にtwitter買収の打診をした」というニュースも耳にしましたが、
これだけ多大な影響を与える各メディアが、その器の中で、
どの情報をどのように伝えようとしているのか、ということは
私たちは常々見極めていく必要があることなのでしょうし、
私たちが製作しているWEBサイトでも、ディスプレー上だからこそ見せたいもの、
書籍ではないからこそ意味のあるもの、をしっかり選んでいく必要があるのかもしれません。
その役割を全うするのにふさわしい配役を選んでいきたいものです。
執筆者: 金澤 秀俊
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